県内全ての保育施設を実地監査 三重県、不適切保育問題を受け

【(右から)倉本崇弘議員、吉田紋華議員、山内道明議員、田中智也議員、辻内裕也議員】

三重県議会は30日、倉本崇弘(草莽、3期、桑名市・桑名郡選出)、吉田紋華(共産党、1期、津市)、山内道明(公明党、3期、四日市市)、田中智也(新政みえ、4期、四日市市)、辻内裕也(自民党、1期、桑名市・桑名郡)の5議員が一般質問した。長寿認定こども園(桑名市)の不適切保育問題を受け、県は本年度中に県内全ての保育所と認定こども園を実地監査すると報告。職員が施設を訪れ、園長らへの聞き取りなどを通じて運営に問題がないかを確認する。倉本議員への答弁。

看護師県外流出対策を ― 倉本 崇弘議員(草莽)

看護師の多くが県外に流出していると指摘し、確保に努めるよう求めた。県当局は修学資金などによって卒業生の県内就職を促していると説明。地域ごとの課題を把握し、県内定着に向けた手法を検討する考えを示した。

【看護師】

倉本議員 県内の人口10万人あたり看護師数は令和2年時点で35位。取り組みが甘いと言わざるを得ない。看護学校卒業者の30%が県外に流出している。人材を県内に留め、給与を含めて勤務環境を改善することが極めて重要。

小倉医療保健部長 令和4年度卒業生の県内就業率は76・5%で、全国平均の73・5%を上回っている。医療機関の魅力発信や修学資金の活用によって県内就業を促しているが、一定数は県外に流出している。地域ごとの課題に目を向けて取り組みを検討する。

【不適切保育】

倉本議員 桑名市は3月に長寿認定こども園の不適切保育に関する一報を受けたが、県に連絡したのは4月。報告の遅れは市の第三者委も指摘したが、県は検証したのか。再び同じことを起こしてはならない。県の取り組みは。

中村子ども・福祉部長 不適切保育の情報を入手した場合は速やかに報告するよう市町に依頼した。保育施設の職員を対象とした研修会も準備している。併せて本年度は全ての保育所や認定こども園に対して実地監査を行う。不適切保育の早期発見に努める。
出会い支援への方針は ― 吉田 紋華議員(共産党)

男女の出会いを支援する県の事業を「押しつけがましいと言わざるを得ない」と批判し、方針を尋ねた。一見知事は「出会いの場を提供するのは行政の重要な役目」と述べ、施策を続ける考えを示した。

【出会い支援】

吉田議員 行政が進める出会い支援、いわゆる「官製婚活」への感想を街頭で聞くと「それより減税や学費の値下げを」「余計なお世話」との声が上がった。結婚の支援は押しつけがましいと言わざるを得ない。今後も続けるのか。

知事 出会いの機会を提供することは行政の重要な役目。未婚者の割合は上昇し続けている。ボランティアの人らによる引き合わせには2カ月間で238人から応募があり、締め切りを繰り上げた地域もあった。プライバシーに配慮しながら今後も進めたい。

【PFAS】

吉田議員 PFASと呼ばれる有機フッ素化合物による環境汚染が問題となっている。県内でも暫定目標値を上回る濃度が検出された。人体や環境への影響をどう考えるのか。調査結果を踏まえた連携や汚染源の特定に向けた動きは。

枡屋環境共生局長 令和元年の調査では、四日市市内の河川でPFOSとPFOAの合算値が暫定的な指針値を超えた。桑名市でも一部の給水栓で目標値を超えたが、既に対策が講じられている。国や市町と情報を共有し、幅広い地域で河川の実態把握に努める。

受診待ちの早期解消を ― 山内 道明議員(公明党)

子ども心身発達医療センターの受診待ちが続いていると指摘し、発達障害の診療を担う地域の医療機関から協力を得るよう要請。県当局は専門の研修を受けた公立病院を中心に診療を働きかける考えを示した。

【地域診療】

山内議員 子ども心身発達医療センターの受診待ちが長い。県は地域で診療を担ってもらうため、ネットワークの構築を進めているが、受診できる地域の医療機関が全て開示されているわけではない。受診待ちの早期解消を。

中村子ども・福祉部長 令和2年度から「発達障がい連続講座」を開き、地域の小児科医ら延べ573人が参加した。センターでの研修後に地域で診療を始める医療機関も出ているが、労力や時間がかかる。公立病院の医師などに診療を働きかけたい。

【奨学金】

山内議員 奨学金の返還は、若者にとって特に不安や負担が大きい。就職先の企業が奨学金の返還を肩代わりできる日本学生支援機構の制度は、県の返還支援制度と併用できると聞く。双方による支援で相乗効果を出してほしい。

後田政策企画部長 機構と県の制度を合わせて活用すれば、企業と県の双方から若者を支援することができる。若者の負担軽減はもちろん、企業と県にとっても効果的な人材の確保につなげられる可能性がある。関係機関と連携して企業への周知を進める。

三重テラス運営状況は ― 田中 智也議員(新政みえ)

9月16日にリニューアルオープンした首都圏営業拠点「三重テラス」(東京・日本橋)の運営状況を尋ねた。県当局はリニューアルから9月末までの来館者が前年同期の1・7倍に上ったと報告した。

【工業研究所】

田中議員 県の工業研究所が果たす役割は非常に大きいが、企業のニーズに応えられているのか。県は研究所の建て替えに向けて基本構想の策定を進めているが、検討状況は。研究所に対し、現場からどんな声が上がっているのか。

小見山雇用経済部長 4市に設けている拠点はいずれも築50年が経過し、建て替えを検討している。エネルギーなど、成長産業への展開も見据えることが重要。現場からは、EV(電気自動車)やAI(人工知能)に関する技術への対応を期待する声がある。

【三重テラス】

田中議員 開館当初はかなりの数だった三重テラスの来館者はその後、コロナ禍で落ち込んだ。一方、9月にはリニューアルオープンして非常に良い雰囲気になった。新たなステージは始まったばかりだが、滑り出しの状況は。

小見山部長 リニューアルオープンから9月末までの来館者は対前年度比で175%。その後も順調。通路の幅が広がったことで、来館者からは「商品が見やすくなった」「開放感がある」などの声がある。インバウンド(外国人観光客)も増えている。

警察官積極的に募集を ― 辻内 裕也議員(自民党)

警察官採用試験の受験者が減少していることを懸念し、積極的な募集に努めるよう要請。県警も「採用情勢は厳しい」との認識を示し、SNS(交流サイト)を活用した広報やインターンシップなどに努める考えを示した。

【企業誘致】

辻内議員 ほとんどの自治体は企業誘致で立地前の支援を用意しているが、立地後の支援を強化することが県のポテンシャルを上げる。立地後の維持に対する補助に次いで企業のニーズが高いのは人材確保への支援。県の取り組みは。

小見山雇用経済部長 立地を決めた企業には、工場建設の開発や建築、環境保全などに関する行政手続きをワンストップで受け付けている。人材確保では、高校の進路担当部署による訪問の同行、ハローワークや就職相談会の情報提供などを実施している。

【採用募集】

辻内議員 警察官採用試験の合格倍率はピーク時に7倍だったが、4倍にまで低下している。全国でも同じ傾向にある。人口減などもあると思うが、警察官の安定的な確保が治安の維持につながる。採用募集をどう強化するのか。

難波県警本部長 受験者は減少し、採用情勢は厳しいが、必要な人材と人員は確保できている。平成30年から身長と体重の基準を撤廃し、令和二年度からは年齢の上限も引き上げた。SNSを活用した広報やインターンシップ、オープンキャンパスなどに努める。