ペタライト確保支援を 萬古陶磁器工業協同組合、三重県に要望書

【一見知事(手前)に要望書を手渡す熊本理事長ら=県庁で】

土鍋の原料に使われるペタライトの入手が困難になっていることを受け、三重県の四日市萬古焼の生産者でつくる萬古陶磁器工業協同組合は18日、ペタライトや代替原料の確保の支援を求める要望書を県に提出した。

組合などによると、ペタライトは土に混ぜると耐熱性が高まるため、萬古焼の生産者らは昭和30年代ごろから土鍋の材料に使用してきた。割れにくい土鍋を作るには「不可欠な材料」(組合)だという。

一方、ペタライトはリチウムイオン電池にも使われていることから、電気自動車の普及によって価格が高騰。さらには、生産者が輸入してきたジンバブエの鉱山が中国企業に買収されて輸入が止まった。

要望書はペタライトが入手困難となったことで「土鍋などの製造に大きな不安があり、産地の存続が危ぶまれている」と説明。代替原料に関する調査も「一産地組合の力で進捗(しんちょく)は芳しくない」とした。

その上で、ペタライト産出国に関する情報収集や鉱山会社との交渉、現地での品質調査などを支援するよう要請。県工業研究所窯業研究室(四日市市)で進めている代替原料の研究を強化するよう求めた。

この日、組合の熊本哲弥理事長らが県庁を訪れ、一見勝之知事に要望書を手渡した。熊本理事長は「業界や組合員はペタライトの不足に苦慮している。工業研究所を頼りにしている」と述べた。

一見知事は「相手は国なので地方から言っても無理がある。国に動いてもらえるようにする」と説明。原材料価格が高騰した伝統工芸品の生産者を支援する予算を一般会計補正予算案に盛り込む考えを示した。