【度会郡】三重県大紀町錦で木工品の製造販売を手がける古薗尚輝さん(31)が、同町大内山産の伊勢ヒノキの芯から抽出した和精油「奥伊勢ヒノキ 大内山」を開発し、20日から販売を始める。爽やかで芳醇(ほうじゅん)な香りとエメラルドグリーンの美しい色が特徴で、5ミリリットル入り2200円(税込み)。
古薗さんは大阪府出身。大阪や東京で公務員として働いていたが、気分転換で旅行していた時に訪れた同町で木工職人の越仮裕規さんと出会い、その時に体験した木工品作りが楽しかったことや海が好きだったことから、今年1月に自然豊かな同町に移住した。
移住後は越仮さんから木工の技術やアロマオイルの精製技術を学び、現在はコースターやお守り入れなどの木工品と打楽器のカホンを製作。「全く未知の世界だったが、一つずつ形になっていくのが面白い」と話す。
和精油の開発にも取り組み、アロマテラピー検定1級も取得。同町商工会の紹介で、原料には古河林業(本社・東京都千代田区)の三重林業所(同町大内山)が育てる伊勢ヒノキを使用できることになった。
曲がっているなど商品として使われない伊勢ヒノキを活用。山から丸太を運び、木の香りの濃い芯の部分を切り出してチップ状にした後、水と一緒に蒸留器に入れ、1時間ほど蒸してオイルを抽出する。完成したサンプルを三重林業所に持参し、米倉敦也所長が古河潤一社長に送付したところ、古河社長が絶賛。同社営業所のノベルティなどとして使われることが決まった。
古薗さんが「奥伊勢ヒノキ 大内山」と名付けた和精油は、鳥羽市相差町の観光施設「海女の家 五左屋」などで、「ひのき芳香蒸留水」(1100円)とともに販売する。28、29日には四日市市の古河林業四日市展示場で、精油の蒸留体験を実施する予定。
古薗さんは「多くの人に奥伊勢地域の独特でフレッシュなヒノキの香りを届けたい。今後は間伐材の有効活用にもつなげられれば」と話した。
問い合わせは古薗さん=電話080(1428)1294=へ。