奈良時代の宮殿発見 斎宮跡で過去最大規模、三重県知事会見

【見つかった宮殿跡(県提供)】

一見勝之三重県知事は13日の定例記者会見で、明和町の斎宮跡(国史跡)で奈良時代の宮殿跡を発見したと発表した。正殿は斎宮跡で見つかった建物としては過去最大。全国的にも例がない建築構造で、県は「斎王が生活や儀式に使った可能性が高い」としている。

県によると、宮殿跡は同町竹川中垣内の近鉄山田線沿いで5月から実施していた発掘調査で見つかった。正殿のほか、脇殿や塀などで構成。宮殿跡から見つかった土器から奈良時代の建造とみられる。

このうち、正殿の面積は約255平方メートル。平安時代の宮殿跡で平成9年度に見つかった「台盤所」と呼ばれる建物の約191平方メートルを上回り、斎宮跡で見つかった建物としては過去最大となった。

【県が想定する正殿の構造(県提供)】

柱の位置などから、正殿は2つの建物をつなぐ「双堂(ならびどう)」と呼ばれる構造だったとみられる。周囲には柱を立てて建物を広げる「廂(ひさし)」も設けていた。双堂と廂を兼ね備えた建物は全国に例がないという。

斎宮跡では昭和45年度に発掘調査が始まり、同63年ごろに平安時代の宮殿跡を発見。平成30年度に飛鳥時代の宮殿跡が見つかったが、これまで奈良時代の宮殿跡は見つかっていなかった。

斎宮歴史博物館は「天皇の代わりに伊勢神宮の祭祀に参加する斎王の宮殿として、格式の高い特別な建物だったと考えられる」と分析。「朝廷が斎宮や伊勢神宮を重視していたことが分かる」としている。

一見知事は会見で「日本の歴史にとっても重要な発見。非常に興味を持って見ている」と評価。「できれば将来的に宮殿を復元し、多くの歴史ファンに訪れてもらえるようにしたい」と話した。

県は21日、宮殿跡の現地説明会を開く。午前10時からと午後1時からの開催。申し込み不要。宮殿跡は11月にも埋め戻す。問い合わせは斎宮歴史博物館=電話0596(52)3800=へ。