「四日市港ができるまで」出版 三重県立北星高・石原佳樹教諭が調査

【石原教諭が刊行した「四日市港ができるまで」】

【四日市】三重県立北星高校地理歴史科教諭の石原佳樹氏(53)=四日市市阿倉川新町=は15日、「四日市港ができるまで―四日市港の父・稲葉三右衛門と修築事業」(A5判、141ページ)を文芸社(東京都新宿区)から出版する。税別1400円。

石原氏は四日市港修築事業や潮吹き堤防築造を稲葉家文書や公文書、伊勢新聞から調べた。県庁の県史編さん班に勤め、研究成果を「三重県史 通史編 近世2」「同 近代1」に反映させている。同港修築工事開始から150年目の今年の節目に自費出版した。

本では、稲葉三右衛門が藍綬褒章を受章した経緯を紹介。県から内務省への推挙理由には「資力を使い果たして破産し、ついに竣工(しゅんこう)の期限に遅れ完成できなかった」「このまま世の中に知られず埋もれてしまっては」「起業する後進が現れなくなりかねない」と記されている。

追申では「現在三重県では工費五〇万円規模の築港計画があり、もしこの工事が落成した場合、稲葉三右衛門が築いた港の意義が大きく失われて、まるで無駄な工事をしたような状態になってしまいます。そうなる前に早急に賞与をしていただきたい」と訴えている。

石原氏は「稲葉三右衛門は造成地や運河はつくったが、波止場は手がけていなかった。投じた工費の回収をつねに計画していた」と指摘。「正確な四日市港の歴史を後世に伝えたいという使命感が執筆の原動力」と振り返っている。