画家・中野氏の遺作展始まる 津の三重画廊、心象的抽象画中心に

【中野さんの作品を紹介する息子の中井さん=津市中央の三重画廊で】

【津】三重県伊賀市(旧花垣村)出身で、平成17年に79歳で逝去した画家の中野英一氏の遺作小品展が4日、津市中央の三重画廊で始まった。初期から壮年期までの小品39点を展示販売している。8日まで。

中野氏は公募団体二紀会で活躍。県内では伊賀アンデパンダン展や三重二紀会などの創立に関わった。同所での遺作展は10年ぶりで、現在伊賀市で開催中の氏の遺作展と時期を合わせた。

【生前の中野氏(中井さん提供)】

キャンバスを数センチ角に切り、色を載せ貼り重ねた「街」、油絵の具をモノトーンで力強く重ねた「華」、青を基調にした「業」など心象的な抽象画が中心。繊細な線で描いた果実や雪山の風景もある。

生前交流があったという津市の画家、倉岡雅さん(71)は「具象を見たのは初めてで新鮮に感じた。生き方にも作品にも骨が入っている」と感想を述べた。

息子の中井英毅さん(67)は「抽象の創作と並行して旅に出かけスケッチを描いて心のバランスを取っていたのかなと思う。亡くなって18年、こんな作家がいたことを若い方に知っていただけたら」と話した。