2023年9月1日(金)

▼自民党県連女性局が津市の四歳女児暴行死事件で県に緊急要望を出した。児童相談所の人員増が主な内容だが「本庁よりも現場に多く職員を配置してもらいたい」。公務員OBの受け皿になっている外郭団体が頭でっかちの体制になっているという話はよく聞くが、本庁の子ども・福祉部と児相との間にも見られるということか

▼急増する虐待相談数に対し、児相の慢性的人員不足が指摘されている。四日市市の母親による虐待死事件などが相次いだ11年前も児相の体制強化が求められ、各児相に3人の増員と、指揮監督する児童相談センターを発足させた

▼当時の検証委で、人員増とともに要請されたのが職員のスキル向上。はっきり口にしなかったが、お粗末という認識があったのだろう。緊急性などを判断するAI(人工知能)を導入したのも、職員の能力を補完するシステムとしてで、最後は人間が判断することが大事だと強調された

▼今回の事件後、一見勝之知事は津市児相に3人増員した。焼け石に水の感は否めないが、AIの判定に頼り過ぎ、もしくは読み違えた能力の方は当面の対策への言及がない。そして市町などとの連携不足。情報を共有しなかったことが昔も最悪の事態を招いた主因だった。悪夢がよみがえったというより何も改善されなかった疑いが濃い

▼無制限の人員増が不可能な以上、市町、教育機関、警察など関係機関との横断的、一体的運営以外、補う方策はない。知事は女性局に第三者委で事件の対応を検証していると説明。すれ違いのようなやりとりをするしかないということだろう。