中村左洲生誕150年の記念展 伊勢・賓日館 市出身日本画家

【大びょうぶに描かれた「大名行列図」などが並ぶ会場=伊勢市二見町茶屋の賓日館で】

【伊勢】三重県伊勢市二見町出身の日本画家、中村左洲(1873―1953年)の生誕150年を記念した企画展が、同市二見町茶屋の賓日館で開かれている。写実的で繊細に描かれた海の生物や郷土の情景が並ぶ。31日まで。

左洲は二見町の漁村に生まれ、幼いころから身近な魚や海辺の風景を描くことが好きだった。生計を助けるため漁師をする傍ら絵をたしなんだという。18歳で伊勢を代表する画家磯部百鱗に師事。第4回内国勧業博覧会に出展した作品が受賞したことを機に画家として大成し、多くの皇族に作品を献上した。写実的なタイの絵を得意としたことから「鯛(たい)の左洲」と親しまれ、生涯地元を離れることなく絵筆を取り続けた。

企画展は、生誕150年の節目に市が企画。市や個人が所蔵する直筆の軸や額装を中心に、期間中、一部作品を入れ替えて計113点を展示する。

海中を泳ぐタイの姿を描いた代表作「群れ鯛」をはじめ、夫婦岩や二見浦の景色、魚や鳥、虫などを丁寧に表した作品が並ぶ。大びょうぶに描かれた大作「大名行列図」も目を引く。左洲の生涯を紹介する映像展示や、左洲が作品制作の基にした「見本帳」のスライド展示などもある。20日には、学芸員らによる講演会がある。

【左洲が得意とした鯛を描いた作品=伊勢市二見町茶屋の賓日館で】

市文化政策課学芸員の山本翔麻さんは「身近な生き物をリアルにいきいきと描く作風は、日本画になじみのない人にも楽しめる。左洲の作品を入り口に、日本画や伊勢の文化に関心を持ってもらえたら」と話していた。

火曜日休館。入館料は大人310円、高校生以下は150円。問い合わせは賓日館=電話0596(43)2003=へ。