2023年7月24日(月)

▼未公開株を政界、官界に大量にばらまいて多くの逮捕者を出し、竹下内閣を崩壊させたリクルート事件の検証番組がNHKで放映された。『リクルート事件・35年目の真実』。被告として有罪になったリクルート会長の江副浩正が6年後に出版した告白手記『リクルート事件・江副浩正の真実』。連想させる

▼驚いたのは、江副の自白を引き出した当時の主任検事、宗像紀夫弁護士が事件について、どちらが勝った負けたではなく「五分五分」と語っていたことだ。当時の検察の捜査責任者がそんなことを言っては問題だから今、初めて話すのだという。藤波孝生元官房長官らを事実上失脚させ、自身は栄転に次ぐ栄転。お気楽な回顧だ

▼『江副浩正の真実』は検察の拷問まがいの取り調べが活写されている。持病に苦しみ、保釈されたい一心から白を黒と言いくるめる検察の自白調書に沿っていく心理も詳しい。その調書で藤波元長官は罪に問われていくのだが、半分程度は真実ということか

▼元法相の大規模買収事件で、東京地検特捜部の検事が不起訴の見返りに元広島市議から検察のストーリーに沿った供述を引き出した疑いが発覚した。現金を受け取った地元議員ら100人が全員不起訴という不自然な事件は、検察審査会の不起訴不当の議決で在宅起訴などに変更されたが、元市議らが次々供述を覆し、村木厚子元厚労省局長事件を思わせる流れをたどる

▼検察を揺るがした事件で、以後司法改革が取りざたされ、いくつか実現したが、結果は何も変わっていなかったか。特捜部解体を改めて考える時期ではないか。