「いかだ丸太の家」が木の住宅賞 木の建築賞で志摩の東原建築工房、「石場建て」など駆使 三重

【「第17回木の建築賞 木の住宅賞」を受賞した「志摩の小庭 いかだ丸太の家」(東原建築工房提供)】

【志摩】三重県志摩市阿児町立神の工務店「東原建築工房」が手がけた住宅「志摩の小庭 いかだ丸太の家」が、第17回木の建築賞(NPO木の建築フォラム・日本建築士会連合会共催)で木の住宅賞を受賞した。

創業120年の同工房は、4代目の東原達也さん(59)が代表を務める。息子で5代目の大地さん(27)は、伊勢工業高校建築科やものつくり大学建設学科(埼玉県)を卒業後、同市に戻って家業を継いだ。現在は親子で、自然の素材を生かし伝統構法を用いた家造りなどに取り組んでいる。

自然豊かな森の中にあるいかだ丸太の家は、同市阿児町の竹内和彦さんと妻の千鶴さんが平成30年に施工を依頼したもので、大地さんが棟梁として初めて手がけた住宅。設計は、愛知県のエムサンクアーキテクト一級建築士事務所の六浦基晴さんが担当した。

【木の住宅賞を受賞した東原達也さん(左)と大地さん=東京都文京区の東京大学で(東原建築工房提供)】

石の上に柱を載せる「石場建て」など伝統構法を駆使し、真珠養殖用いかだの材料となる県産ヒノキの丸太を構造材として使用。資材は可能な限り地元産や県産を使い、地域で集めた古い建具を再利用したり、炭状にしたもみ殻を断熱材として活用したりするなど工夫を凝らし、令和2年に完成した。

木の建築賞は、木造文化の向上に寄与することを目的に全国7地区を巡回していて、今回は対象地域の東海・北陸地区から43点の応募があり、11点が入賞した。いかだ丸太の家は、「木と土と石の家」をコンセプトに自然資源を伝統的な建設手法で再現し、良質な木造の居住空間を実現したことが評価された。

これまでも、国土交通省の平成30年度サスティナブル建築物等先導事業気候風土適応型に採択されたほか、第1回みえの木建築コンクール住宅新築部門最優秀賞など数々の建築賞を受賞しているという。

6月下旬に東京都文京区の東京大学で表彰式があり、東原さん親子も出席して表彰状を受け取った。

達也さんは「木の建築に対する真摯(しんし)な思いや今までやってきたことが認めてもらえたと感じる」と喜びを語った。大地さんは「大地に家を建ててほしいと言われるように自分の力を磨いていきたい」と話していた。