「ヤクルトレディ」60周年 開始当時の制服を復刻 三重

【復刻制服を着て配達の準備をするヤクルトレディ=津市藤方の三重ヤクルト販売津南センターで】

【津】乳酸菌飲料「ヤクルト」を家庭に届ける「ヤクルトレディ」。女性の社会進出の先駆的存在として制度が始まり今年で60年を迎えた。東海、北陸、近畿地区を管轄するヤクルト本社中日本支店(大阪市北区)では、周年を記念し制度開始当時の制服を復刻し話題を呼んでいる。

「ヤクルト」は昭和10年に福岡県で販売を開始。当初は男性営業マンが各家庭を回っていたが、顧客である主婦と同じ目線で商品の価値を伝えようと同38年に全国で女性の販売組織をスタートした。現在同支店管内で約8300人、県内の販売を担う三重ヤクルト販売では約500人が活躍している。

同支店では60周年の節目にヤクルトレディの歴史を振り返ろうと制度開始当時の復刻制服を企画。白い襟が付いたベージュのブラウス型ジャケットと帽子、茶系のパンツ、ロゴの入ったかばんを作った。

三重ヤクルト販売では先月末に県内32の拠点に1着ずつ配布し交代で着用を開始。同社津南センターでは「昭和レトロでいい」と好評だ。復刻制服で配達した服部香織さん(38)は「訪問先で制服の話をしたら90歳のお母さんが『私も昔ヤクルトレディだった』と教えてくれた」と話す。

同制度の普及と並行し販売会社では子どもがいても安心して働けるよう昭和40年代から企業内保育に着手。現在全国約2400拠点のうち946カ所に保育施設を設置している。

2歳と4歳の子の母、渡辺純さん(27)は「仕事と保育園を同時に見つけるのは難しいので保育施設があるのはいい。子どもが風邪をひいて休んでも他の人がカバーしてくれる」と働きやすさを口にする。

ヤクルトレディ歴9年半の小川紗依さん(40)は「この仕事でないと出会わないいろんな年代の人と会える」と魅力を話す。中日本支店総務課の衣笠暁子係長(49)は「60年は通過点。健康をお届けする創始者の思いを心に、70周年、100周年を目指したい」と力を込める。