三重、海外選手を半数近く投入 ラグビー・リーグワン入れ替え戦、いざ最終戦

【チームメートと入れ替え戦に向けた練習に取り組むクリントン・ノックス選手=3日、鈴鹿市内で】

ラグビー・リーグワンの入れ替え戦は各カード最終戦を残すのみとなり、1部昇格を目指す2部2位の三重ホンダヒートは13日、1部11位のNECグリーンロケッツ東葛(千葉)と敵地で対戦する。近年、国境を越えた移動が活発化しているラグビー界を反映して、11日発表の当日の出場メンバーは23人中半数近くを外国籍選手で占めた。アルゼンチン出身の190センチ、111キロの大型No8で母国の代表チーム主将も歴任したパブロ・マテーラらビッグネームの活躍が期待される一方、異国で地道に力を蓄えてきた選手らも大事な戦力だ。国籍も背景も異なる選手たちが〝ワンチーム〟で大一番に臨む。

三重のCTBクリントン・ノックスは豪出身の30歳。居住年数が長期間に及ぶため、リーグワンでは日本人選手と同じ枠の「カテゴリーA」で登録されている。

今季レギュラーシーズンは5戦目からスタメン出場。1―3位順位決定戦初戦の豊田自動織機シャトルズ戦は後半に逆転のトライも決めた。今シーズンからはDFリーダーの役目も任され「自分たちのDFシステムを機能させるようハードワークする」と気合十分だ。

ラグビーを始めたのは10歳。南半球拠点の世界最高峰リーグ、スーパーラグビーに憧れたが、母国でトップ選手になるには険しい道のりで、活路を国外に求めた。2015年に加入した秋田のチームを振り出しに19年、リーグワンの前身のトップリーグに所属していた三重に移籍した。

来日当時まったくできなかった日本語は現在日常生活で不自由しないほどに上達した。帰化申請の準備も進めており、日本代表の夢も「頭の中にある」が「まず重要なのはチームの昇格」と話し、チームリーダーの自覚をにじませる。

外国人枠の拡張は年々進む。マテーラ選手のように、他国での代表経験があるため、日本代表資格が得られない外国人選手も、リーグワン発足後、トップリーグ(TL)時代の2人よりも1人多い、最大3人の同時出場が可能となった。

グローバル化は日本人選手の出場機会を奪うとの指摘もあるが、選手時代、帰化選手の多い近鉄などでプレーしてきた高忠伸コーチは「(ラグビーの国際化は)日本だけではない。気持ちの持ちよう」と現状を前向きに受け止める重要性を強調する。

海外選手の相次ぐ加入を「すごい刺激」と話す三重の古田凌主将も「それぞれの選手から学べるところがある」。「そこから何かを吸収し、自分のものにして成長していきたい」とチーム一丸の成長を誓っている。