2023年4月26日(水)

▼すれ違う通行人一人一人にくだをまきながら歩くおぼつかない足取りの酔っ払いの話がある。その筋とひと目で分かる人が来ると、さりげなくよけたという。スポーツ界の暴力パワハラ問題で、JFA(日本サッカー協会)の相談窓口に寄せられた相談件数の最多は小学生で約5割。日本スポーツ協会でも約4割。弱いところに被害が集中するといえようか

▼柔道女子日本代表の暴力指導問題を機にスポーツ界が「暴力行為根絶宣言」を出して10年。共同通信調査によると、回答した五輪・パラリンピック競技56団体のうち9割超の54団体が相談窓口を設けていた。透明度は高まっているが、相談内容はパワハラ(無視、差別、罰則など)を筆頭に暴言が続き、暴力行為も5割を占めた。改善の兆しはまた別ということである

▼津市近郊の運動公園でも土日、児童生徒らの野球、サッカーなどの対外試合が盛んだが、聞こえてくるのは指導者の怒声がほとんど。国は今年から3年間を「改革推進期間」として部活動の地域移行を推進しようとしているが、トップアスリートの現状をみると、心もとなくなる

▼共同通信調査では半数の団体が「体罰やセクハラに当たる不祥事」を危惧していたが、最も多かったのは「活動に関わる費用面」。県でも数年前、夏休みのプール開放で保護者へ監視を委託していることが問題になったが、専門家への委託を検討したら予算が数倍にはね上がり、立ち消えになった

▼問題発生に、学校が無関係と言えるかどうか。県教委の具体的計画は知らないが目下、思案投げ首中に違いない。