2023年3月9日(木)

▼RDF(ごみ固形燃料)貯蔵庫爆発事件と県議視察の話がある。消防士2人が死亡する惨事から数日後、地元県議らが現地を視察した。一応落ち着いたという見込みのもとだが、視察中に爆発音が響き、分厚い鉄のふたが転がってきて、県議団のすぐ近くで止まったという

▼県事業で死亡者を出すという県政史上、異例な事故であり、市町村との始めの取り決めが次々ほごになるというずさんな計画であることに加え、一つ間違えたら大惨事になった視察が、県議の事故への追求姿勢を一気に硬化させたといわれる

▼ともあれ、県の失敗事業は数あるが、議会への報告が何度もやり直しを求められ、最終報告が県ホームページで5月に公開されるというのも県政始まって以来ではないか。県を揺るがした巨額の〝集団横領事件〟ともいうべきカラ出張問題さえ報告として残されていない。永久保存に願いたいものだ

▼さて、「総括」と銘打った今回の報告案。「見込みの甘さ」「市町に大混乱」「技術的課題の不十分」「安全性意識の欠如」などの言葉並ぶが、議会の反応やいかに。感覚のずれは依然横たわっている

▼例えば「(前年の)発火事故の原因検証を怠ったことが爆発事故につながった」などの記述。何度も爆発音が報じられたが、県はいずれも火災と発表した。市町村固有の一般廃棄物に県が乗り出すことに「処分場建設に悩む市町村を助けるのも県の仕事」などと言っていた

▼事故原因はそうした県の普通の業務遂行の中にある。鳴り物入りで始めてわずか五年の終了に、報告は「一定の成果」。やんぬるかな。