「おかげ野菜」や食用花生産 鳥羽・ファーム海女乃島、障害者の「やりがい」育む 三重

【農薬を使わない水耕栽培で「おかげ野菜」などを生産する利用者と西川さん=鳥羽市安楽島町で】

【鳥羽】三重県鳥羽市安楽島町の「ファーム海女乃島」が、「おかげ野菜」と名付けた葉物野菜や色鮮やかなエディブルフラワー(食用花)の生産、販売に取り組んでいる。江戸期に産地で食用として栽培された藍に着目し、商品化にも注力。雇用契約を結んだ障害者の就労を支援する「就労継続支援A型事業所」として、利用者が農作業を通じて楽しみながら働き、やりがいを育む場を提供している。

ファーム海女乃島は、代表取締役の西川信子さんが、県内の専門学校で水耕栽培を学んだダウン症の息子(30)の就職先が同市になかったため、「私が働く場所をつくろう」と自身で立ち上げた農場。市内の旅館「海女乃島」のおかみをしながら農場を運営している。

平成27年に安楽島町の6アールの土地にビニールハウス2棟を建て、スタッフ4人と利用者は息子を含む3人からスタート。同年に県から同事業所の認定を受けた。3年後に白木町の6・8アールにも2棟を建設。事業の拡大と共に利用者も7人に増えた。

食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証「JGAP」を取得し、農薬を使わないことがこだわり。水耕栽培でハンサムグリーンレタスや小松菜、リーフレタスなどを育てている。「おかげ野菜」と名付けて商標登録したのは、「おいしい野菜ができるのは、太陽や水、みんなのおかげ。感謝の気持ちを込めた」と話す。

おかげ野菜と共にビオラやカレンジュラなど食用花も生産。農場での栽培品種はこれまで約40種だったが、現在は売れ筋を中心に約20種。伊勢志摩地域の商業施設や産直市塲、インターネットなどで販売し、売り上げも好調という。

令和2年から栽培する食用藍の商品化も進め、国産塩と米こうじ、藍などから作る5種類の「藍糀塩」と、ローズヒップやレッドバジル、ユズなどを使った7種類の「藍酢」を開発した。

【食用の藍を栽培して商品化した7種類の「藍酢」(ファーム海女乃島提供)】

西川さんは「息子のためにつくった農場だが障害者の人もたくさん来てもらいやってよかった。今後も六次化商品を作って売り上げを増やし、障害者の人をもっと雇いたい」と話した。

問い合わせはファーム海女乃島=電話0599(26)5063=へ。