船参宮の歴史を紹介 伊勢の記念館で企画展

【船参宮について紹介する資料などが並ぶ会場=伊勢市御薗町上条の山田奉行所記念館で】

【伊勢】三重県伊勢市御薗町上条の山田奉行所記念館で、江戸―明治期に盛んだった、航路を利用した伊勢参り「船参宮」の歴史を紹介する企画展「伊勢湾を渡った人たち」が開かれている。26日まで。入場無料、火曜休館。

江戸中期、庶民の間で伊勢参宮がブームとなり、関東や東海地方からは、三州吉田(今の愛知県豊橋市)から船で伊勢湾を渡り伊勢を目指す参拝者も多かった。

企画展では、江戸時代の船参宮の様子を表した絵図の複写、吉田港からの乗船記録、明治時代に運航していた定期船や下船した参宮客でにぎわった伊勢の港町に関する資料などを展示。船が悪天候により遭難したことを記録した江戸時代の古文書の解説などもある。伊勢湾を渡海した歴史上の人物として、徳川家光や清水次郎長の逸話も紹介している。

同館運営委員の中北幸宏さん(66)は「車や電車がない時代、移動手段として船は大きな役割があった。遭難などのリスクを冒してでも伊勢参りに向かった時代に、思いをはせてほしい」と話していた。