負担金残余に「対応せず」 県費で手土産の購入も 三重県包括外部監査

三重県包括外部監査人の神谷研税理士は1日、監査報告書を県に提出した。他団体に支出した負担金の残余に対する認識の甘さなどを指摘。出張先への手土産を予算で購入したことも明らかになった。

包括外部監査は年度ごとにテーマを設けて実施している。今回は昨年度中に実施した観光関連の29事業(約56億5千万円)を監査。地域連携部と雇用経済部に23件の指摘と32件の意見を出した。

監査報告書によると、県が事務局を担う「みえ観光の産業化推進委員会」について、県に負担金を請求するための関係書類に「県費は要・不要にかかわらず、予算全額を受け入れる」と書かれていた。

委員会では新型コロナの影響で負担金に残余が生じたが、県が対応を協議した記録はなかった。監査報告書は残余について「本来は県が負担しなくても良かった」とし、返金などの対応を取るよう求めた。

また、感染防止対策に取り組む観光施設を認証する制度では、事務の委託料に計上した909万円の算出根拠が記載されていなかった。見積もりを出した委託先に詳細な資料の提出を求めなかったという。

この委託料は1255万円に増額された一方、認証の申請は1217件と、想定の2050件を下回った。監査報告書は「県が委託金額の適切性を十分に検証していないと考えられる」と指摘した。

このほか、観光局の職員は昨年度に7回ほど、関係機関や企業を訪問する際に土産を渡していた。いずれも県産の菓子で千円前後。上司の決裁を経て、海外プロモーションなどの予算から支出していた。

うち2件は独立行政法人の職員に手渡したが、国の「みなし公務員規定」には反しないという。海外誘客課は「県を知ってもらう目的だった」と説明。「誤解のないよう、今後は控えたい」としている。

神谷氏は記者会見で「コロナ禍という緊急事態だったことを考えると、県は良くやったとは思う」としつつ「外部から意見を受けた時にしっかり説明できるよう、規定通りにしてもらいたい」と述べた。