「お奈津の方」の生涯解説 郷土史家の椋本さん、津で講演 三重

【「お奈津の方」について話す椋本さん=津市羽所町のアスト津で】

【津】県内の研究者や歴史愛好家らで作る三重歴史研究会(山口精彦会長、会員40人)は29日、津市羽所町のアスト津で新春講演会を開いた。同会相談役で郷土史家の椋本千江さん(74)=津市=が「清雲院奈津の方」と題して講演。旧安濃郡(現在の津市)出身で徳川家康の側室となり3代にわたって徳川家を支えた「お奈津の方」の生涯をたどった。

椋本さんはお奈津の出生から80歳で生涯を閉じるまで順を追って解説。長野氏の家臣の娘として生まれ、叔父が駅路問屋をしていた大門で2歳から15歳まで過ごしたことや、二条城の奥女中時代に湯殿で家康の危機を救った功績から側室になった経緯を紹介。

持ち前の機転で家康をたびたび救い、そばに仕えて相談を受ける6人衆の1人に女性で唯一登用されたほか、伊勢商人が江戸に進出する手助けをするなどの活躍に触れ「人を慈しみ郷土を愛し人のために尽くした女性。側室の中で徳川家の墓地に祭られたのはこの人だけ」とたたえた。

会員ら約30人が聴講。津市の原田日出夫さん(81)は「側室が政治的なことにも関わっていたと分かった。お奈津さんを津の人がもっと知るといい」と感想を話した。