2023年1月22日(日)

▼「市町で関係人口を増やす取り組みが進んだため、(事業の)目的は果たした」のだそうである。人口減少が急速に進む中で、恐れ入った自己弁護満足だ。また「来年度以降は違う形で関係人口の獲得に取り組みたい」

▼南勢・東紀州地域の人口獲得を目的に始まった「度会県プロジェクト」が、人口減少対策を重点目標に掲げた一見勝之知事の誕生とともに五年間の幕を閉じる。〝成果〟といえる「度会県民」の登録者は20日現在1501人。この一年間の新県民は30人程度。行き詰まって事業を閉鎖する際の、冒頭のいつも聞き慣れた県の釈明である

▼実際、お役目で県職員が務めるプロジェクト事業としては、五年は長すぎた。始めた当時の幹部の意気込みはなく、知事も交代し、義務感で引き継いできた県職員にとって地獄の五年間だったのではないか。三重テラスの明日が見えるようだと言っては言い過ぎか

▼貧困な職員の発想をどう引き出すかは歴代知事の悩みだった。田川県政が始めたサンライズ事業。サンは太陽と三の掛詞で、三年間限定の新規事業を募った。小粒な企画を数多くということであり、それ以上続けては惨めなことになるということでもあろう

▼北川県政の職員の意識改革の一つに予算主義から決算主義へ。予算獲得に熱心だが、決算時にはその情熱はない。決算にこだわってこそ生活者起点の県政ということだったが、知事交代とともに消えた

▼「違う形」の予算獲得が始まり、決算時に「度会県」の評価、分析などは誰も気にしなくなっている。かくて、同じことが繰り返されていく。