2022年12月16日(金)

▼「とにかく感染や重症化を防ぐにはワクチンに頼るしかない」と一日当たり3364人という第八波最多の新型コロナウイルス感染者に直撃されて一見勝之知事。「懇親会などでマスクをしていない場面が多い」など、県民の〝油断〟をとがめる言葉に続く発言で、対策の徹底を呼びかけたとされるが、ノーマスクが感染拡大の原因でもなし。刀折れ、矢尽き、いちるの望みをワクチンに託したように聞こえなくもない

▼私の言う通りにすれば大丈夫などの勢いはない。第6波の反省として高齢者施設の感染拡大を挙げたが、第7波も同じ反省を挙げることになり、第8波は〝先手先手に〟と高齢者施設への指導を徹底したが、3―9日に12件のクラスター(感染者集団)。内訳は高齢者施設が8件、医療機関が4件。まただ

▼見方によっては、知事の対策や見通しがすべて後手に、裏目に出ていると言えなくないが、知事はなお余裕があるか。1カ月前は、東海3県知事の呼びかけについて、地域の共同歩調の必要性を強調しながら「まだその段階ではない」。3千人突破や病床使用率43・0%を前にした今回も、行動制限について「50%に迫れば要請しなければならない」としつつ「いろいろな方法がある。まだ念頭にはない」

▼やるぞ、やるぞの掛け声ばかりでは「感染防止行動徹底アラート」も、アナウンス効果程度の期待さえできなくならないか。観光政策の妨げになることは先送りしたいのかもしれないが、具体的呼びかけがマスク会食の徹底とワクチンだけでは、逆に観光施策の根っこを引っ張る気がする。