2022年11月5日(土)

▼人口減少対策について、服部吉人大紀町長との「円卓対話」で、一見勝之知事は「実際のところ地域間の競争」。持論らしい。人口減少対策に限ってのことか、ふるさと納税にみられるような政策全般に対してか

▼昔は、都道府県や市町村など行政機関は〝横並び〟が基本だった。地域間競争が言われるようになったのは国が地方交付税を削減する必要に迫られてから。県で言えば、マイナスシーリング方式。交付税を減らす名目として、やる気のある市町村には特別に補助金を上乗せすることにした。優れた計画には潤沢な財源を支給するとして競争をあおった

▼国が考えた事業のメニューから自分の地域にあったものを選んで手を上げるという方式を続けてきた都道府県や市町村がどれだけ対応できたか。恣意的な交付もあり得ると感じさせたのは麻生太郎財務相の新聞協会での講演だった

▼地元九州の福岡市の計画を褒めそやし、返す刀で北九州市をばっさり―「計画が出てこないから福岡と差が付くのは仕方ない」。政争が絡んでいることは事情通ならずとも歴然だった

▼服部町長が新生児手当を紹介した。大事なのは「若者の減少を食い止めること」だが妙案はなく、手当は苦肉の策と言っている気がしたが、一見知事は「魅力ある行政をされている」。「自然が豊かな大紀町にはメリットがある」とも。肩すかしを食った気がしないか

▼地方の〝横並び〟は覇気のなさを示す代名詞だが、〝地域間競争〟というのも地域間格差を助長。勝負には時の運も。行政に競争はなじまない。どことどう競争するというのか。