2022年10月27日(木)

▼図書館が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)系の関連本を所蔵していたからといって問題はあるまい。あらゆる分野の本をそろえて誰もが学べる機会を提供するのが図書館の使命である

▼県立図書館で関連本、それも総裁の講演集ともいうべき本が見つかったというのは、希少本を所蔵していたということにもなろう。担当者が「取り扱いを検討」するというのはおかしな話で、続けて「検閲をしないのは図書館の使命。内容にあからさまな人権侵害などがない限り、貸し出しは続ける」と語った正論とはいささかの矛盾がある。担当者も宮仕え。正論が通じぬ世界にいることも先刻承知だからかもしれない

▼人事、財政に絶大の権限を持つ総務部から関連本の調査を指示されたという。「なんのため」などと聞くわけにもいくまい。「検閲」に抵触しかねないが、とにかく調べて20冊と答えたが、韓総裁の〝講演集〟はすっぽり抜け落ちていたというから、しまらない話だ。出版社名だけで検索したせいという。お粗末極まる

▼指示する方も従う方も「検閲の禁止」、表現の自由に関わる憲法問題を突き詰めて考えたことなどないのだろう。宗教の自由についても場当たり的にしか考えていないから県の随所に入り込まれているのことに各部門とも「知らなかった」

▼県立図書館は平成八年頃、部落解放運動団体の一つ、全国部落解放運動連合会系の図書を県の方針に合わないとして閉架に移したことがある。自分たちが図書の選別、すなわち検閲をした。時々の風向き次第で右でも左でも。もとより芯はないのだろう。