<まる見えリポート>自転車活用の機運高まる 伊勢志摩地域8市町が検討会

【伊勢志摩地域での自転車活用に向けた企画部会で意見交換する参加者=伊勢市のいせ市民活動センターで】

新型コロナウイルスに伴う「新しい生活様式」が提唱される中、感染拡大防止の観点から通勤・通学やレジャーなどでの自転車活用に向けた機運が高まっている。国や三重県などで推進に向けた法整備が進む中、伊勢志摩地域では市町をまたいだ活用検討会を設立。企業でも、自転車の活用を模索する動きがある。

平成29年5月、自転車活用推進法が施行された。これに基づき、国は平成30年から令和3年にかけて、コロナ禍での社会情勢の変化を盛り込みながら自転車活用推進計画を策定。これにならい県でも令和2年、観光地域づくりやスポーツ振興、安全利用等を主軸とした推進計画を策定した。

国交省では、自転車と観光資源を連携させて新たな観光価値を生み出すことを目的としたナショナルサイクルルート制度を創設。昨年5月には、伊勢志摩地域沿岸を含む太平洋岸自転車道など3カ所を追加で指定し、フォローアップとして都市部での自転車通行空間の確保などを盛り込む推進計画の策定を周辺市町に求めた。

こうした流れを受けて、伊勢志摩定住自立圏内の伊勢市▽鳥羽市▽志摩市▽玉城町▽度会町▽大紀町▽南伊勢町▽明和町―の8市町は7月1日、自転車活用に向けた検討会を設立。鈴木健一伊勢市長を会長に、各市町の首長や県、有識者として大学教授や観光事業者などが参加し、観光や環境、交通やスポーツなど幅広い分野での活用に向けた基本計画の策定を進めている。

伊勢市岩渕1丁目のいせ市民活動センターでは今月22日、初会合の第1回企画部会が開かれ、自転車を取り巻く現状や課題について意見が交わされた。

このうち自転車を活用した観光基盤づくりについて、委員として参加した岐阜県飛騨市でサイクリングツアーを展開するインバウンドベンチャー、美ら地球(ちゅらぼし)の山田拓社長は、「経済貢献や雇用の受け皿を考えるとどこまでを目指して整備するか考える必要がある」と指摘した。

海外からのインバウンドと比べて日本人の観光消費額や可処分時間には限界があり、また利用者目線では地元住民や自転車以外の車両との相互理解も前提にあるとし、「道を引いて線を引いて看板立てて終わりではない」と強調した。

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近鉄(本社・大阪市)では9月3日から、松阪―賢島駅間(57・6㌔)を結ぶ山田線、鳥羽線、志摩線で自転車利用者が車内に自転車を持ち込んだまま移動できる「サイクルトレイン」を本格運行させる。

平日は五十鈴川―賢島駅間で午前9時―午後2時台の上下21本、土、日曜と祝日は松阪―賢島駅間で午前8時―午後5時台の上下44本を運行する。

沿線の観光協会やレンタサイクルと連携して、自転車や車内での転倒防止用の固定具貸し出しも実施する予定で、持ち込みはもちろん、自転車を持っていない観光客も手ぶらで利用できるとしている。

コロナ禍で観光利用客が激減した状況を背景に、鉄道と自転車を組み合わせた新たな需要を呼び込むために4月に試験運行を実施。利用者からも好評だったことから本格運用を決めた。

同社鉄道本部名古屋統括部運輸部営業課の担当者は「これまでは難しかった鉄道から離れた目的地にも自転車で楽しみながら回っていける。気軽に利用して、いろいろな市町を見てもらうきっかけにしてもらえたら」と話していた。