2022年8月12日(金)

▼それができるのなら、なぜもっと早くに、と思うのが、一見勝之知事が9日に打ち出した新型コロナウイルス検査キットの無償配布だ。キットの効果は実証されている

▼2月にクラスター(感染者集団)が発生した特別養護老人ホームの嘱託医が県医師会の会員誌に書いている。沈静化できたのは県が無償で配布した抗原性検査キットが「功を奏した」。施設看護師が発熱者を直ちに検査し、陽性がでたらすぐ嘱託医に連絡した

▼ワクチン接種は入所時期やショートステイなどで効果が現れるのはばらばらのため、クラスター期にはパニックになりがちだが、検査キットを活用して施設と医療機関が連携し、1件ずつ対応すれば乗り切れるという

▼新規感染者数が2千人、3千人と衝撃の拡大で、死者も毎日のように報告され、クラスターも発生。オミクロン株は感染力が強いが重症化率は低いと当初、県がしたり顔で語ったことが〝悪夢のよう〟に耳奥にこだまする。教訓は生かされているか

▼検査キットは、専用ウェブサイトへの申し込みで簡単に家庭に届くらしい。早く実施していれば医療機関の負担も軽く、連携次第だが拡大防止になったのではないか。先手には、またも回りきれなかった

▼かつてコロナの感染者数発表は知事のぶら下がり会見で行われていた。数が目に見えて低下してから事務局発表になったのが常態化し、感染者が過去最大を更新しても知事は姿を見せない。会見などのスケジュールで危機を語る

▼大事が起きたら直ちに会見し、県民に説明し、呼びかける。危機管理に対する知事の基本である。