2022年8月5日(金)

▼県職員が、やりたくない仕事を避けるときはどうするか。北川正恭元知事の言葉として何度かこの欄でも紹介している。倉庫の奥底から古い規範文書などを探しだし「これがあるからできないんです」と言うのだという

▼旧統一教会の令和元年の関連行事に当時の知事名で祝電を送ったかどうかを問う稲森稔尚県議の質問文書に、県は「公費による祝電はなかった」とする先の一見勝之知事の会見での言葉を踏襲するとともに「行政が政務の活動を調査することはできないと判断した」。「調査できないと判断」するために、倉庫の奥底をひっくり返していたのだろう

▼「知事の政務と公務」が最も話題になったのも前知事の時だった。単独で海外出張したり、政党の海外視察団に加わったり、他県の知事選の応援や、県内参院選での自民候補の応援、後援会活動への参加…。そのたび「政務」が取りざたされ、その都度公務との境界のあいまいさが残った。退任して一年弱。職員の脳裏にはこの〝便法〟が刻まれているのかもしれない

▼旧統一教会と政府・自民党との関係が取りざたされているが、県内では立民の中川正春議員が祝電を、岡田克也議員が関連団体の「世界日報」でインタビュー記事を載せていた。政治家の付き合いについて「基本的には望ましくない」と言ったのは一見知事だが、政界一色の印象がある

▼ビデオメッセージを送った故安倍晋三元首相が一番の責任になるのだろうが、何の共鳴、考えもなく、付和雷同的に加わったその他大勢の政治家に責任が大きいことは、先の大戦が教えるところである。