2022年7月16日(土)

▼「政治は結果責任」と言ったのは北川正恭元知事だった。RDF(ごみ固形燃料)焼却・発電事業の総括で、同知事の責任追記が求められるのは望むところに違いない。その前の知事の田川亮三氏はバランスの政治と言われた。石橋をたたいても冒険はしない

▼軸足は移さず、片方の足で新構想をちょんちょんと突っつく。とんとんとたたく。さらにちょんちょん、とんとん。両方に立ってバランスをとるころには、周囲が新構想へ動いている

▼政治生命がかかる事業には決して近づかないから、平成6年の世界祝祭博覧会(まつり博)に「田川知事が政治生命をかける」と取りざたされた時、一番驚いたのはご本人ではなかったか。西武資本が志摩に芸術村構想を打ち出した時、沿線距離がもっとも長く、県からの収益が最も多く、従って〝近鉄王国〟と言われながら、近鉄は腕をこまねいているだけかとやゆされ、県と近鉄の連絡が密になり、近鉄は志摩スペイン村構想、県はそれを盛り上げる博覧会開催の分担が決まった

▼博覧会ブームの中で大阪が花博、愛知も万博に名乗りを上げ、県も規模拡大を余儀なくされていく。「政治生命」の話になったのである。入場者数が目標の300万人を突破して田川知事が涙を流したというのは「政治生命」に巻き込まれ、解放されたことも一因ではないか

▼県南部に県立大設置の要望書を受け、一見勝之知事は「重く受け止める」としつつ、効果が乏しかった場合「政治責任になってくる」。心配なのはまず自分の首ということか。田川元知事に比べて「正直者」という気はする。