2022年3月4日(金)

▼県財政の基本的な考えを県議会に問われて、高間伸夫総務部長が「身の丈に合った財政運営に努める」。財政当局が「身の丈」と発言するのは異例らしい。財政の基本政策を事務当局が答えることが異例ということでもあろう

▼「身の丈」うんぬん自体は予算案発表時の一見勝之知事の言葉。過去の厳しい財政事情への知事なりの思いもあろう。「時には借金も必要だが、中長期的な視点で身の丈に合わせなければ、逆に県民の負託に応えられない」と言った。戒めもあろう

▼財政当局が「真に必要な事業には支出しつつ」を含め、口まねしては同工異曲の可能性を否定できない。「身の丈」ならぬ「身のほど」の問題かどうかはともあれ「身の丈に合った答弁」ということも少し考えてもいい

▼財政当局は我が世の春を喜んでいるのかもしれないが、「派手好みの為政者」などと言われる前知事も登場した平成23年には総人件費2割削減を公約に自らの給料も引き下げ、しがらみ補助金などを標的にゼロベースでの歳出見直しなどに取り組んだ。職員を戦々恐々とさせ、議会も給料復活を再三知事に進言している

▼その前の野呂昭彦元知事は「新しい公」、すなわち行政サービスを広く公の機関でやっていくとし、北川正恭元知事も、田川前県政のハコモノ政策を批判。県関係団体の自立を求めて補助金をカットした

▼「健全財政」は新任知事のスタイル、トレンドである。大丈夫と積み立てを見送った県債管理基金が、今度は積み立て不足だから「身の丈に合った財政運営」。ご都合主義で県民を愚弄(ぐろう)してはなるまい。