2021年10月17日(日)

▼定員に達していない三重県立高校でいまだに不合格者を出しているという。国の調査に対し、県教委は「定数内であれば原則として不合格者を出さない」

▼「原則」とは「人間の活動の根本的な規則」(広辞苑)だが、「原則として」と使うと、それ以外に「例外が許容される場合がある」意味合いを含む。「原則不合格者を出さない」と言っているように装って、実際は真逆の意味に用いたりする。「遺憾」同様、お役所用語であり、二枚舌とも言えようか

▼定数に達しているか、いないかで、学校側としては天国と地獄ほどの違いがある。達している学校は、例えば県教委の指導なども、何するものぞの鼻息だ。中途退学者や不登校生徒を受け入れるのが目的高校でも、学期途中の転入には聞く耳を持たないが、定数未達成高校なら「県教委の意向は無視できない」という具合

▼にもかかわらず、毎年のように定数内不合格者が出ている高校について、県教委の木平芳定教育長は「どのような考え方で不合格としたのかを、校長に年度始めに聞き取っている」。何もかも終わって新年度がスタートする時に事情を聞く。勝負が決まったあとの将棋で、形を整えるみたいなものだろう

▼定数内不合格者問題は長年、議会から是正を求められてきた。同時に指摘されたのは、定数未達成校を最下位に、進学校を最上位に、教員人事がランク付けされているということ。一ランク上位の校長を務めたことを退職後もしきりに自慢する元校長がいるのは、そのためだ

▼木平教育長も、基本的にはこのシステムを変える気はないのだろう。