「まる見えリポート」大会迫り制限付き活動再開 コロナ禍の部活動、制限付きでの活動再開 三重

【女子高校ボクシングの東海大会で連勝中のピン級・大薮碧美選手(左)とフライ級・松島夢莉選手】

三重など19都道府県で13日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が今月末まで延長された。その一方で、8月25日から県立学校に部活動の原則休止を要請してきた県教委は13日から制限付きでの活動再開も認めている。一部の競技で、生徒の進路にもつながる上位大会の開催が迫っていることにも配慮した「苦肉の策」。部活動の関係者は感染症対策、ケガ防止などに気を配りながら、生徒の活動の場の確保を模索する。


県教委は9日付けで、13日から全国大会などにつながる大会に出場したりする場合に限り、長期の休止期間に起因するケガ防止のため、大会出場の登録選手ら最小限の生徒に対し、平日のみ週3日以内▽1日90分以内―などの制限付きで活動再開を認める通知を各校に送っている。

関係者は上位大会の日程や感染状況を見ながら、公式戦の日程再編成に取り組んでいる。10月30、31日に東海高校新人大会の開催が予定されている陸上競技専門部は県予選にあたる県高校新人大会を10月2、3日、無観客試合で開くとしている。

来年春のセンバツ出場校が決まる秋季東海地区高校野球大会の抽選会を10月12日に控える高野連も19日から県大会の地区予選を再開した。県大会は当初、26チームで今月11日に開幕する予定だったが、夏の県大会優勝の三重高校を含めた9チームが決まった先月25日以降、地区予選の開催を見合わせていた。

県大会の開幕は今月末を目指すが緊急事態宣言下で県営や市営の球場が借りられず、代替措置として各校グラウンドを借りる方針だ。学校施設を利用する場合、報道陣も含めた完全無観客試合で行うとし「大切な子どもたちの大会が開催できなくなる可能性がある。役員、審判員、選手、補助員が完璧に大会を運営、実施しようとしている」と説明する。


コロナ禍で目標とする大会そのものを失う生徒も。三重同様緊急事態宣言下の栃木県で10月28日から開催を予定されていた全日本女子ボクシング選手権(ジュニア)は今月中止が決まった。県内からは久居、明野の二校のボクシング部に所属する女子部員数人が参加を予定していた。

高校世代の女子ボクシングの全国大会は男子に比べて少なく、春休み中に開かれる全国高校選抜以外全日本ジュニアしかない。ともに高二から東海地区負けなしの明野高校三年の大薮碧美さん=ピン級=、久居高校三年の松島夢莉さん=フライ級=の場合、今年春の選抜はコロナ禍で地区予選開催が遅れたため全国大会に参加できず、高校最後の全日本ジュニアに照準に合わせて練習してきた。

学校の施設が使えなくなった先月末以降も自宅などでトレーニングを続けてきただけに、全日本ジュニア中止が決まったと聞かされた時は「ショックだった」と口をそろえる。高校でボクシングを終えるという松島さんは「最初で最後の全国大会。全てを出し切って一位を獲るつもりだった」と悔しさをにじませる。

日本ボクシング連盟は、年度内で感染状況が落ち着いた時期に高校世代の女子選手のための大会開催を模索している。県内でも三重とこわか国体の代替大会としての女子大会開催など検討中。久居高校の片山太一郎教諭は「目標が無ければ次の成長につながらない。女子ボクシングのこれからを担う選手を育てるためにも代替大会の開催を願っている」と話す。