2021年9月2日(木)

▼津市を流れる二級河川、志登茂川の河口付近の堤防に告知板が貼られていた。カモメへの餌付けをご遠慮くださいという。観光地のアトラクションに採用されるし、この川の堤防でも、お年寄りなどがカモメに囲まれて楽しそうにエサをまいているのをよく見かけるが、野生動物への安易な餌付けが問題なのはいうまでもない

▼告知板には、カモメが一カ所に集まるようになると鳥インフルエンザなどの感染拡大、伝播につながる恐れを警告している。また、苦労せずにエサにありつけるようになると自ら獲得しようとしなくなり、自然界で生き残れなくなってしまうともいう

▼行政としての鳥対策といえば鳥獣害対策が知られるが、こちらはカモメのためを思っての施策のようなのが、ひと味違うところだろう。カモメは害鳥ではないが、害鳥として県内各地を悩ますムクドリもかつては益鳥だった。田んぼの害虫を食べてくれる鳥として人間の周囲に生息して喜ばれていたが、森や田んぼが少なくなるにつれ、市街地に定住するようになった

▼カラスが一番身近な天敵だが、カラスも害鳥として人間に目の敵にされている。ますます住みよい環境になってきているのだろう。騒音、ふん害に悩まされ、四日市市は4年前からタカを使って追い払う作戦を展開しているが、すみかを移動するなど、目立つほどの成果はないようだ

▼野鳥は「鳥獣保護管理法」で保護され、むやみの駆除は禁じられている。同法は明治23年のきょう、三重県知事がツバメの捕獲を禁止したことが始まりという。息の長い取り組みが望まれる。