2021年8月20日(金)

▼「情けは人のためならず」は誤用の普及で知られる。「人に対して情けを掛けておけば、巡り巡って自分に良い報いが返ってくる」(文化庁)の意味だが、同庁の平成12年度「国語に関する世論調査」では「情けを掛けると甘え心が生じ、結局その人のためにならない」が45・7%。正用の45・8%と二分した

▼国民の意識の変化などが理由だと同庁は分析している。岡本栄伊賀市長が、三重とこわか国体の中止を求める要望書を鈴木英敬知事に提出した

▼市町長は初めて。数日前、末松則子鈴鹿市長が「すでに有観客か無観客かという次元の話ではない」として「さらに踏み込んだ判断を」と語った。潜在的には少なくないのではないか

▼知事は「市町の負担がないことを説明したい。医療の負荷を心配しているのは市長と同じ」。岡本市長は感染ピークが見えない中で「いまやるべきことではない」とし、末松市長はワクチン接種ができていない子どもの「健康、安全をどう担保していくのか」。知事との感覚のずれは大きい

▼無観客で開催した全国高校総体で辞退校が相次いでいる。目まぐるしく変化する中で県も対応に追われよう。昨年は鹿児島県が国体を中止した。鈴木知事は戸惑いを隠さず「鹿児島だけが準備をしてきたわけではない」とし、のち同情を示しながらも、翌年の県開催へ影響がでないことを強く主張した

▼佐賀県が順番を譲り、令和5年開催に落ち着いたことは周知の通り。情けは人のためならず。順番を断固守ろうとした鈴木知事の場合は、正用か誤用か。鹿児島県は感謝しているに違いない。