2021年8月4日(水)

▼青木謙順県議会議長が、鈴木英敬知事が任期半ばで国政転出をした場合について「想定はしておかなければならない」。国勢調査についての対応はのんびりしていたが、機敏な時もあるようだ。8月に辞表提出などの報道が相次いでいる。にわかに火の粉がふりかかってきた気がしたのかもしれない

▼「過去には国会議員に出た知事もいる」と調査を始めているらしい。民選知事2人目の田中覚のこと。旧農林省から県に出向。昭和30年知事選に現職に対抗して出馬し当選。当時としては全国最年少知事だった。四日市コンビナートの誘致に成功し、全国屈指の工業県に成長させたが、全国四大公害の一つ、四日市ぜんそくに悩まされることになる

▼昭和47年衆院選で転出したのは、義兄である三木武夫の説得に応じたからとされるが、公害対策に窮して知事を投げ出したという評も付きまとった。一期後落選。参院選に回ったが落選した。農林省から田川亮三を招いて副知事に起用し後継含みとされたが、前触れなく再任議案を提出せず、県職員を震かんさせた

▼新型コロナ感染者が34人となった7月29日、鈴木知事は県外との往来などの注意を呼び掛け、33人となった翌日は「段階に応じて対策を図る」。続く31日の44人、8月1日の37人、2日の32人の3日間は音沙汰なし

▼前回の緊急警戒宣言発令、まん延防止措置の申請前後の感染数と比べると、対応に乗り出すタイミングが遅い気がする。田中元知事が転出した状況に似てきたと、青木議長は言っている―わけではあるまいが。