2021年7月27日(火)

▼NHKの大河ドラマを全編見たのは平成25年の『八重の桜』が最後で、名場面は今も目の奥に残る。一番は、会津藩の家老の妻が一族の女性もろとも自刃するシーン。辞世の句「なよ竹の風にまかする身ながらもたわまぬ節はありとこそ聞け」が感動を今に伝える

▼その故事とダブらせては異論はあろうが、国民民主党県連が次期衆院選の立憲民主党公認の県内立候補予定者4人の推薦を見送って「支持」したことに、似た思いがした。戊辰戦争では、官軍が城下に入り、夫が城に向かうのを送っての自刃だったが、国民県連の推薦見送りは反自民、非共産で連合三重が主導してきた「三重県方式」の崩れ、と本紙「まる見えリポート」

▼滅びの美学である。金森正県連会長は「組織の主たる部分は産別労組。十分くみして方向を決めていかなければいけない」と語っていた。その支援4労組との役員会前の意見交換で、立民との溝は埋まらなかった。「三重県方式」の始まりはともあれ、固まったのは平成元年の参院選で公示1週間前に無名の井上哲夫氏を連合推薦候補として出馬させ、現職の農水政務次官を打ち破ってからだろう

▼以後、鈴木英敬氏の知事選勝利まで〝常勝伝説〟を誇ったが、その敗北とともに威力は減衰し、もともと内蔵していた路線の違いが歩み寄りを許さないまでになったということだろう

▼「心情を一本化するのは大変難しい」と金森代表。労組に方向をまかせなければならない立場だが、公党として示した「支持」が果たして「たわまぬ節」かどうか。見定めるにはまだ少し、時間はある。