2021年7月2日(金)

▼顧問弁護士らの調査チームがまとめた津市の自治会問題に対する報告書にまた一つ、ほころびがあらわになった

▼「不合理な人事異動と断定できるものはなかった」などと元自治会長の人事介入について報告していたが、支所の技師長が議会百条委員会に参考人として出席し、元自治会長とのトラブル後、環境事業課に所属していた自身の環境部内異動や、昇格した同僚の自治会長への10万円持参などを語った

▼技師長は「(人事の)内示直前だったので、環境部内のどこかに回すことになった」として環境政策課へ配置換えとなった起案の写しを提出し、当時の環境事業課長から「俺も力がないからすまん」と言われたなどと証言した

▼報告書も、建設部への異動を求められた例があるとして、環境部長が「内示後の部をまたぐ異動はあり得ない」と応じなかったとした上で、業務応援の形で部内異動し、復帰要請に応じず、年度替わりに他部に異動させたという

▼事なかれ主義などと、報告書はむろん言わない。折衷案として「業務応援」「相互援助」の形で配置換えした例は存在するとして「(自治会長の意向だと)断定できないが、関係性は否定できない」という。問題をすり替え、矮小化していく手法はさすが顧問弁護士といえようか

▼「不自然な人事異動は見受けられなかった」とする一方、人事は年齢、経験、能力などで決まるとし、結果が「(自治会長の意見と)合致することは起こり得る」。配置換えを正当化しているようでもあるが、その裏返しである昇格の礼金について、報告書は何も記述していない。