2021年6月6日(日)

▼県が新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種で発生した余剰ワクチンについて指針をまとめ「市町が接種対象者に関する独自の方針を定めることを妨げるものではない」としたせいか、自身が先行接種する考えを鳥羽市の中村欣一郎市長が明らかにした

▼指針が対象者としたのはキャンセル待ちの高齢者をはじめ12種の関係者や職種。市町職員もその最後に並ぶが「ケースワーカー、災害時に避難所運営にあたる職員等」のただし書きがある。市長はない

▼中村市長は言う。「市の責任者として何かあったときに事業の停滞することが損害につながる。市民の迷惑にならないよう打つべきだと判断した」。こっそり先行接種した首長らの釈明と似ているが、バレてからと、あらかじめ断るのとでは説得力に天地の差はある

▼鈴木英敬知事も「住民の皆さんに説明責任が果たせるようにすることが重要」と言った。実践したつもりかもしれない。指針は、余剰ワクチン接種対象者の順番を決めておくこととして、例としてまず未接種の高齢者をあげ、次いで保育所、児童養護施設、高齢者や障害者(児)サービスなどの従事者、介護認定調査員と続け、警察官は11番目

▼市長らを含めなかったのは、県にも考えがあったのではないか。「市長に何かあったとき」はコロナ禍以前に想定されている。副市長、総務部長と、代わる職務代理者の順番が決まっている。家族の中で換えの利かない存在とどちらを優先するかは、必ずしも市長に軍配があがるわけでもあるまい

▼「説明責任」とは、それらに答えることであろう。