2021年5月5日(水)

▼「育児休暇が3年取得できたり当直が免除になったり」と、長女を出産した22年前と比べ、女性が働きやすい環境になったとアピールしたのは女性で初めて所轄の刑事第一課長になった景井薫警部である
▼男性育児休業取得率が令和元年度は1・9%で官民合わせて県内最低の三重県警で育児休暇が3年とはずいぶん手厚いが、育児休暇と育児休業はむろん同じではない。前者は小学校に就学する前の子どもを養育するための休暇で、後者は1歳に満たない子どもを養育するための休暇。ともに育児・介護休業法に規定されているが、後者は義務づけられているのに対し、前者は努力目標で適用は正社員だけ
▼育児休業に有給が広がりつつあるが、ほとんどが無給。共同通信社の世論調査で、憲法が保障する男女平等が「実現していない」「あまり実現していない」が計64%。女性が70%で男性57%だった。「政治の場」と「社会通念やしきたり」で男性優遇と答えた人が80%超という
▼旧厚生省と旧労働省が統合した厚生労働省で、両省の子育てと女性部門が一つになり、目的の違いで激論が交わされたと言ったのは元厚労相事務次官の村木厚子さんだ。やがて互いの主張を理解し、いい組織になったとも言ったが、最近また分離が進んだという。女性活躍社会が結局は経済政策であり少子化対策で、女性差別解消や権利が埋没されたと分かってきたからではないか
▼コロナ禍がそこを直撃している。家事・育児について「夫婦ともに」が45%で「妻が」は7%。意識の浸透が「社会通念やしきたり」を変えるわけでもない。