2021年4月9日(金)

▼東京五輪の聖火リレーが県内でも2日間で12市町を巡り、感動を巻き起こしながら184人のランナーが走った。第一走者の瀬古利彦さんは出発式で「県にいよいよ聖火がやって来た」と語り、「(五輪の)開会式で聖火がともされるのを想像して涙がこぼれそうになった」

▼一方で、新型コロナウイルスの第4波が変異株の拡大とともにひたひたと迫る足音が聞こえてくる。ワクチンの接種はこの2日間で県立病院までほぼ順調に進むが、民間病院での予定は確定していない。中国への漏洩懸念で政府が個人情報のやり取りを一時停止した無料通信アプリ「LINE」に登録させ、接種後のケアに備える

▼「希望の光をつなぎ続けるために、感染症対策に協力してほしい」と出発式で鈴木英敬知事はあいさつした。大阪府はこの日、公道でのリレーを全面中止した。万博記念公園を封鎖して走るという。中止を検討した島根県は参加者を絞って実施する。47都道府県走破のキャッチフレーズが危うい

▼県内でも、熊野市がこの日、夏の名物・大花火大会を2年続きで中止の発表をした。70日ぶりに30人以上の感染が確認されている。病床使用率が20%台から一気に40%を超えた。リレーの始まる2日前、県感染症対策本部員会議で長時間の会食回避を呼びかけから協力要請に引き上げるなど指針を強化し、知事が「さらに強い措置も」と訴えたにもかかわらず、である

▼「希望の光をつなぎ続ける」という言葉に知事のひりひりする思いが表れている気がする。聖火リレーを感動を胸に見守った。かたずものんで。