2021年4月5日(月)

▼睡眠導入薬と睡眠薬は同義で、「眠剤」とも呼ばれる。短縮した言葉に秘密のにおいがあり、後ろ暗さを感じさせるのは娘が幼い頃大量服用して自殺を試み、同僚がまた、清掃剤などを混ぜて飲んだトラウマもあるか。薬が危険と背中合わせであることを心に刻ませた

▼三重大医学部付属病院で睡眠導入薬百錠が紛失した。別に4400錠紛失の可能性もあるという。先月23日の数量確認で前日より1箱減っていて発覚したというのはいいが、過去3年を調べたら3種類4400錠の行方が分からなくなっていた。厳密なのか、大ざっぱなのか。毎日確認するルールが機能していないということではあろう

▼死に至る睡眠薬は今は医者の処方薬でもないかぎり不可能というが、紛失薬はどうなのか。定期的在庫確認があり「少しでも合わなければ処方箋と照合し、原因を突き止める」と薬局勤務の友人が教えてくれた。麻薬同様の厳重管理が義務づけられていて「どこの薬局でもやっていることと思っていたが」。三重大付属病院だけが違ったと信じたい。いい値で売れるらしい

▼同病院は薬剤師約70人の聞き取り調査を始めたという。「睡眠」とはいっても、使用しない薬を大量発注して捨てていた麻酔部の2年間で約2200回の改ざん事件とは関係ないようだ。ルール無視はどこまで広がっているか

▼新型コロナウイルスの3日の新規感染者のうち、三重大生ら学生の先月末の食事会が3回という発表と異なり6回で2人追加された。三重大の報告がどうこうの問題ではあるまい。弱り目にたたり目の類いだろう。