2021年3月3日(水)

▼津市の一部公共工事で予定価格を50万円以下にするため、職員が1件を意図的に分割していたと前葉泰幸市長が明らかにした。うち、金額が上昇した分は「故意に実施したと判断し、賠償責任を問う」し、処分もするという

▼気持ちのいいほどの部下の切り捨てだが、泣いて馬謖を斬るの故事もある。が、自治会長、市議ら地域有力者の要望に応え、問題を「スピード感を持って解消するため」という分割の釈明は認め、決済不要の随意契約にしたことは、だから「特定の業者への発注を目的とした行為とまでは言えない」としている

▼また、分割の仕組みは市が昨年3月に設置した内部調査委員会の同11月の報告書で初めて分かったことではない。平成30―令和元年度にかけて監査委員が3回も指摘し「不適切」と報告している。内部調査委発足が監査委報告とどう関係しているかはともかく、昨年11月の内部調査委報告と3月1日の市長会見での公表など、タイムラグはある

▼昨年12月に設置した弁護士による〝内部調査チーム〟がこの2月にまとめた「津市自治会問題に関する中間報告書」と重なる部分もある。結果的に公表の順番が前後したのはなぜか。最大の疑問は、市長自身の責任について何の言及もないことである

▼自治会長逮捕事件への職員の関与について、前葉市長は「安心して働ける環境が整っていなかったことに私自身の至らなさを痛感」。責任は認めるが、自治会長本人は「行事で会ったことはある。千人くらいいる中の一人で、特に印象はない」

▼何も知らなかったと言いたいのだろう。