2020年12月27日(日)

▼「漁協の承諾を得るよう業者に求めた認識はない」と桑名市の伊藤徳宇市長。承諾を業者に指示した文書が明らかになっているにもかかわらず、である。「文書の存在を知らなかった」とも言ったが「非は認めなければいけない」として「被害に遭われた事業者、市民に心からおわび申し上げる」と謝罪した

▼県も「業者に漁協へ工事説明に行くよう指示」(真弓明光理事)しながらも「(恐喝行為との結びつきは)結果的だった」。業者に謝罪する考えはないことを稲森稔尚県議に伝えた

▼桑員河川漁協の前組合長が恐喝容疑などで有罪判決を受けたのちの対応である。ともに恐喝事件が起きる環境を整えたとされる市と県で謝罪する、しないに分かれたのは、一つには判決で関与を名指しされたかどうかの違いではなかったか

▼市職員はしかし、名指しされても責任を認めない。行政指導に強制力はないとして、漁協に承諾を求めたのは業者の自由意志みたいな論法を展開する。かつてゴルフ場開発規制を受け、県の指導に従ったのに断念せざるを得なかったとして開発業者が損害賠償を求めたのに対し、県が反論した論法でもある

▼特定の漁協にだけ報償費を払った理由について、県は旧上野市議会の決議をあげた。桑名市は承諾を求めた指導について、県議会の採択に基づく県の指導をあげた。いずこも同じお役人である

▼県は業者へのアンケート次第での検討も示唆する。受領は倒るる所に土をつかめ。転んでもただでは起きないのが平安時代の官僚のトップ。どちらに転んでも傷を最小限にするのが現代の県職員。