2020年11月24日(火)

▼桑名市長選が告示され、現職を含めて3氏が立候補した。論戦が期待されるが、第一声では前組合長が恐喝未遂などで逮捕された桑員河川漁協を巡る問題は触れられなかったようだ

▼コロナ対策、子育て・教育支援、行財政改革などが焦点という。時節柄、当を得た課題には違いないが、桑名市の場合、その前にという気はする。本紙の『市政の課題』が「事件を受け、対外的な市の信用という根本的な問題が問われている」と指摘していた。立派な「焦点」を論じても、遂行するのは人だろうということである

▼3日前の前組合長の裁判で、検察の論告求刑は事件に果たした市の役割を数回にわたり言及した。開発業者は「市の指導に従い、やむを得ず被告人と面会し」被害にあったこと。「被告人は長年にわたり、市役所などに働きかけ」て優位な立場を築き、それを悪用して利得を得ていたこと

▼誰もが十数年前〝不祥事のデパート〟と言われたことを思い出すのではないか。詐欺や収賄などの刑事事件もあったが、それ以上に深刻に思ったのは、市の行政の端々に前市長の私設秘書なる人物が介入し、市職員が従っていたことだ

▼事件とは別に不適正な金の流れが発覚。問われた職員が上司も承知しているなどと答えたことなどは、いまだ明確な真相が明らかにされた言いがたい。倫理審議会や不祥事再発防止委員会などがつくられ、市や議会で議論された

▼検察の指摘事項を市長は「知らなかった」とし、非を認める方向。市職員は認めず「責任はない」と言い放つ。子育て・教育支援や行財政改革どころではない。