2020年11月4日(水)

▼熱心な読者とも言えないが、津市民であり、市広報に掲載される「市長コラム」は目にする。最新号は「津市の公共下水道事業」。明治22年から説き起こし、昭和2年には近代的設備完成。空襲で、平成29年の下水道処理人口普及率は46・8%。県庁所在都市の中でワースト3とつづる

▼翌30年に県工事の中勢沿岸流域下水道志登茂川処理区が21年の工期をかけて完成。市の汚水管敷設工事を急ピッチで進めているので、各家庭は3年以内の接続をお願いするという内容。ひと昔、ふた昔前の亡霊に古い請求書を突きつけられ矢のようにせっつかれた気がする

▼他の流域下水道の倍の工事期間に県を批判することがないのが前葉泰幸市長の美点か。景観や希少動物への配慮など、困難な問題が次々発生したと、むしろ県を擁護している。枝線工事の進行具合が関わるかどうかは知らぬが、時に犬猿の仲ともされた歴代知事と津市長の関係が思い起こされることは少ない

▼一志病院の負担問題の県市対立は県と県庁所在地市を象徴するが、局地戦に限られているのは知事、市長の自制心も大きいのではないか。平成の大合併で県の機構が大きく変わったのは県民局の廃止だろう。市部の指導は本庁の市町村課。郡部が出先の7県民局の担当だったが、仕事がなくなった

▼というより新市に移ったと言える。合併市の旧郡部が、旧市部重視策に不満を募らせているのは周知の通り。問題が県から新市に引き継がれた。政令指定都市と府県が対立するのも似た構図だろう。府が仕掛けた大阪都構想敗北。さもありなん。