2020年8月4日(火)

▼「水に落ちた犬は打つな」「水に落ちた犬は打て」―いずれも中国のことわざで、フェアプレーについての前者の解説に、小説家で思想家の魯迅が反論したのが後者とされる。なまじ助けると落ちたことで腹を立てているから、身近な救助者にかみつくというもので、革命後の保守反動勢力に向き合う姿勢を表現したとされる

▼「転がる石にコケはつかない」(英国)も、だから職を転々としてはお金は貯まらない意味が米国に渡り、アカなどがつかないためには転がり続けなければならないの意に変わった。我が国の「情けは人のためならず」も、情けをかけるとその人のためにならない、に変わってきている

▼時、地域、状況で変わるのが処世訓でもあることわざで、真逆の例えも少なくない。相手が新型コロナウイルスとなれば、水に落ちた時に打つべきか、打たぬべきか。75日の感染者ゼロ期間を経て、県は一気に打つ手を緩めた。新型コロナも、コロナ型である以上、インフルエンザ同様、夏に弱いのではないかというのは素人考えだが、感染力は一向衰えない

▼重症者が少ないのは分裂で弱毒性に変異したか、秋口から先祖返りするのか、誰も見通せない。ともあれウイルスは水から助け出された感があるが、鈴木英敬知事は四日市、桑名両市と共同メッセージを提案し「半数が両市居住者。ピンポイントに対策をする必要がある」

▼半数を外して「ピンポイント」というのもピンがぼけている気がするが、知事は意思力で前向きになれる楽観主義者。悲観主義の不安な気分などにはくみしないのかもしれぬ。