2020年7月30日(木)

▼チャンスの神様は前髪しかないという。後頭部は禿げ上がり、後ろからは捉えることができないといわれる。県の新型コロナウイルス感染症対策を聞くたびに、その名言が頭をよぎる。後ろから、懸命に捉えようとしているのではないか、と

▼思えば豚コレラ(豚熱)対策では、鈴木英敬知事は先手、先手で進め、ワクチン散布へと導いた。新型コレラのいわゆる第一波も、初めての感染者が外国由来と分かると、すぐさま渡航自粛を呼びかけた。国の緊急事態宣言対象外となると独自の感染拡大阻止緊急宣言を出した

▼いわゆる第二波になると明らかに後手に回る。東京訪問も、緊急事態宣言を出していないから「移動自粛」ではなく「注意喚起」だなどという。前髪をつかもうという懸命の姿はない。そのせいか、呼びかけても呼びかけても効果は空を切っている感じだ

▼対策本部員会議は28日、若者の感染が多いことを踏まえ、感染防止対策が不十分な県外の飲食店などを利用しないよう、特別措置法に基づく「協力要請」を県民に求めた。県内の接待を伴う飲食店などにも、対策の徹底を「協力要請」するという

▼ピントがずれてはいないか。要は、移動自粛に尽きるのではないかという気がするが、それは今後の状況を見てという。先手に回る気はないようだ。県の年代別感染状況を見るまでもなく、街中でのマスク着用状況、集団の形成と活動は中高年と若者で明らかに違う

▼万事、若者は無防備だ。効果的対策とは何か。「第一波の状況とは違う」というなら違うで手綱をためらうだけでは対策と言えまい。