2020年7月20日(月)

▼恐喝容疑などで逮捕された桑名市の桑員河川漁協に市が平成22年度、員弁川への生活排水排出の補償金名目で50万円を支出していたことが市への公文書開示請求で分かった。生活排水を流している別の川の漁協に出していないことについて、市は「分からない」。同年度以降、同名目の支出の記録が見つかっていないことについては、理由を調べているという

▼書類整備にかけては専門家の市職員の仕事としては信じられないいい加減さだが、公金を受け取ろうとしている側ではなく、補償金名目で公金を支出しようとしているという逆転の立場になって考えると、理解しやすいのかもしれない

▼鈴鹿市漁協などが昔、上流のメッキ工場の排水を規制する要望書を市に提出したことがある。「漁師が要望書なんか書けるか」と同漁協組合長に言われて面食らった。書類はすべて市職員が製作したのだという。申請側と受理側が一体ということはないことでもない

▼補償金や協力金、環境保全など名目がくるくる変わったのも、そう考えるとつじつまは合う。伊藤徳宇市長が掘削工事に伴う「適正な支出」と主張したのも、その年度に限ってはその通りなのだろう。消えたり、別名目になる説明がつかないだけだ。関係する親族の建設会社と一体で調べねば全容はつかめまい

▼県も仕様書に同漁協へ「事前に説明すること」と明記しながら「6年前のため把握できない」。「『協力金』名目で金を受け取ることはあってはならない」とも。一つの法・規則を別のルールで尻抜けにする。巧妙さでは市の及ぶところではない。