2020年7月12日(日)

▼鈴木英敬三重県知事流に言えば「緊褌一番」となろうか。ふんどしを締め直すの意味で平成28年県当初予算をそう命名した。一度緩んでしまったら締め直すのは困難。そんな思いもあったのだろうが、いま改めて、その思いをかみしめているのではないか

▼知事が海外渡航自粛を全国に先駆けて呼びかけたのは3月5日。海外渡航した県内居住者2人に感染が確認された直後だった。よそ事の印象が強かった新型コロナウイルスの脅威が一気に身近なこととして迫ってきた。緊急事態宣言による県外への移動自粛が解除されたのは5月31日。知事が県外移動自粛解除に触れたのは同28日

▼6月1日から自粛は呼びかけず、イベント開催も緩和。5都道県に限って往来は18日までとした。同30日は海外渡航が制限される中、知事は逆に台湾へ渡航制限緩和後の来県を呼び掛けた。この日を境に津市は停滞する経済活動を応援するに伴うプレミアム商品券の発行を決め、鈴鹿市は同券の受け付けを開始した

▼テーマパークなども再開。県内は警戒しながらも抑圧からの解放感を味わった。東京の感染者増で、知事が再び都心部などへの今月10日まで移動検討を呼びかけたのは3日。76日ぶり、47人目の感染者となった鈴鹿市の男性は、しかし、1日に東京へ。接待も受けていた

▼3日は、観光庁長官の来県も受けて、観光地振興策について懇談。紀伊半島三県知事会議でも、同振興策を県から提言した。会見やテレビ会議でのマスクも外れた。知事の晴れ晴れとした姿は、県民に言葉以上に浸透したに違いない。