2020年7月2日(木)

▼有効求人倍率(季節調整値)が5年8カ月ぶりに1・2倍を割り込み、連続10カ月の低下。前月からの下げ幅はリーマン・ショック以来の大幅という。大手自動車メーカー減産の影響が製造業を直撃しているという話だが、先日の全国紙に東京から応募してきた若者が10日間の研修後、採用取り消しを告げられたルポが載っていた

▼所持金はなく、寮も追い出され、桑名市に相談したら「うちは小さい市なので」と名古屋市行きを勧められたという。釈明上手の市だけのことはある。県の移住支援策の底が見える気がするが、就業など定住態勢がきちんとして、初めて手厚い支援策が提供されるということなのだろう

▼名古屋からも見放されて結局、NPOの支援で東京へ帰り着き、生活保護を受けることができたという。一極集中がネガティブな側面ばかりではないことをうかがわせもする。リーマン・ショックの時、住専問題を経験した日本は影響は大きくならない、ノウハウを欧米に提供したいなどと、麻生太郎首相が大見えを切った

▼長期低迷期にあり、さらに大幅な景気後退に引きずり込まれていくのだが当初、ダメージが少なかったのは確か。企業の生き残り策が講じられていく中で、しわ寄せを最も被ったのが非正規社員であり、日系2、3世の外国人労働者だった。一時帰国するか、子どもをどうするかなどで教育現場も混乱した

▼コロナ禍では一層深刻な気がするが、三重労働局の雇用情勢調査からは実態は分からない。鈴木英敬知事は台湾に観光の呼び掛けをした。それもまた、大事なことには違いない。