2020年5月30日(土)

▼知事同士の〝けんか〟と言えばリニア中央新幹線の県内停車駅を巡る静岡県の川勝平太知事とのやりとりを思い出すのは鈴木英敬知事としても迷惑なことだろうが、愛知県の大村秀章知事発言に対する大阪府の吉村洋文知事の反論もおもしろい

▼「東京、大阪は医療崩壊の状態」と繰り返した大村知事に対し、吉村知事が「大阪で医療崩壊は起きておらず、根拠が不明」と反論した問題だが、おもしろいと思ったのは、続けて「根拠のない意見を披露する前に、名古屋市ともう少し連携したら」と言い放ったことだ

▼川勝静岡県知事の「うそつきは泥棒の始まり」もずいぶんな発言だが、売り言葉に買い言葉の類い。対して、吉村知事のは、なるほどそれほど深刻なのかと奥の院をのぞかせてもらった気がする

▼東海圏の首長会議と言えば、中小企業大学校や中部空港の候補地争奪戦を含め愛知、岐阜、三重、名古屋の3県1市が定番。新型コロナウイルスの感染拡大防止策になって急に3県だけになった

▼政令指定都市は緊急事態宣言の対象ではない。だから足並みをそろえるのは3県で十分、という考え方もあろうが、吉村知事が「もう少し連携」と言ったのはコロナ対策に関してで、医療関係に限定した話でもあるまい

▼東海3県の移動自粛に3県知事がいくら声を合わせても、名古屋とは連携できぬ関係というなら何だかむなしくならないか。東海3県はじめ全国、中部、そして今回は近畿圏の知事会議と大活躍の鈴木知事だが、足元とも言える名古屋市とは疎遠というのでは、仏作って魂入れずの気がしなくもない。