2020年5月25日(月)

▼本紙連載の『塚本三郎が斬る』の熱心な読者とは言えなかった。政治の核心部分や人生訓に教えられることが多かったが、腹心として仕えた〝民社党のドン〟故春日一幸委員長のイメージが強すぎたせいかもしれない

▼塚本・旧民社委員長の死去を伝える本紙に、安倍晋三首相の公務員定年延長法案見直し発言が報じられているというのも何かの因縁かもしれない。演説の巧みさで〝春日節〟と言われた故春日委員長が自民党の主張の変遷を「理屈は後から貨車で付いてくる」と言ったこと思い出させたからだ

▼人生百年時代を唱え「高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用」と言っていた安倍首相が、検察庁法改正案が見送られ、定年延長を閣議決定した黒川弘務東京高検検事長が不祥事で辞任すると「法案をつくった時と状況が違っているとの考え方もある」などと、すべての見直しを示唆し始めたのだ

▼コロナ禍で、世界のリーダーがそこそこ支持率を上げる中で、安倍首相は下降する数少ない一人だった。検察庁法改正でさらに低下が予測されていたが、また一段と急落するのではないか。全国紙の世論調査で内閣支持率が30%を切る数字も出ている。その中で、吉村洋文大阪府知事は評価を上げているという

▼政府の基準なき緊急事態宣言解除を批判し、大阪方式を提案したことが評価されていた。学校休校要請や7都府県緊急事態宣言から全国一斉の同宣言と基準なき施策を繰り返す安倍政権のアンチテーゼということか。「悪夢のような自民党政権」―後年の歴史家はこの時期を評するかもしれない。