2020年4月29日(水)

▼伊勢、鳥羽、志摩、南伊勢3市1町の首長が大型連休期間中の同地域への帰省や来訪自粛を呼びかけた。観光都市の苦衷がにじむ。四日市、桑名両市は休校延長を決め、松阪、紀宝両市町は事業支援策を打ち出す。各首長も懸命の新型コロナウイルス感染拡大防止、乗り切り策を探る

▼津市の前葉泰幸市長が市広報紙のコラムで、新型コロナ感染不安軽減への市の努力をつづっている。実例として紹介しているのが3月31日、鈴鹿市で開かれた陸上競技練習会に参加した五輪メダリストの感染が判明し、82人の接触が明らかになったことに伴う苦闘。県の発表では津市の参加者は不明だが、不明のままでは四月六日に迫った新学期の対応ができかねる

▼市教委が県教委に連絡を取り、9人を割り出したそうだ。個々の接触者の有無を確認し、予定通りの学校再開を2日に発表。翌3日に9人全員の陰性を公表した。県が参加者全員の陰性を発表したのは4日。「前後することになりましたが」として、学校運営に責任を持つため一人一人の情報把握に努めた結果、と続ける

▼市民に胸を張るとともに、行政としての足並みの乱れを弁解している気もする。県、市別々に接触者を洗い出したということか。陰性の判断は市独自だったということか。食い違う可能性もあったという危うい状況を示唆しているとも受け取れる。学校運営に責任を持つため、ではすむまい

▼非常事態宣言で、せっかくの学校再開の判断も休校へ。県民一丸の自粛を呼びかけているとき。せめて県、市ぐらいは一丸で、と願わずにはいられない。